「ベンチャー企業」というと、新たなビジネスモデルを生み出す若い人の会社といったイメージがあるのではないでしょうか。一見、介護業界とは縁がないように思えますが、決してそうではありません。むしろ近年では、介護業界で起業するベンチャー企業が増えてきています。介護業界における人手不足や介護難民問題をニーズとして捉えて、独自のサービスやアイデアで参入するベンチャー企業が後を絶ちません。これまでとは異なる柔軟なアプローチの介護サービスが誕生しており、介護業界の在り方が変わろうとしています。
例えば、ベンチャー企業が提案する人手不足を解消する試みの一つとして、介護シェアリングがあります。介護の仕事を時間ではなく業務内容によって分担することで、短時間だけの勤務を可能にしています。これが実現すれば、忙しすぎて休む暇もなかった介護士でも、無理なく働くことができるでしょう。この取り組みは結果的に、施設は業務が効率化でき、介護される高齢者にとってサービスの質が高まるという双方のメリットを生み出しています。
中には、民家を利用して少人数制のデイサービスを行なっているベンチャー企業もあります。利用者の人数を抑えて営業時間を長くし、低料金にしたシステムを打ち出しており、人気が高まっています。このように、介護業界に参入したベンチャー企業は、高齢者や働き手のニーズを掴み、これまでの介護業界の常識を覆すアイデアと行動力で新たなサービスを確立しています。介護業界を成長産業と見なし、チャンスを掴もうとするベンチャー企業の動きは、今後の超高齢化社会の未来を良い方向に変えてくれるかもしれません。